オリジナル体温計スタンド製作 3
#3D CAD #3Dスキャナー #SOLIDWORKS #Markforged #リバースエンジニアリング
前回までのあらすじ
非接触型体温計と立てて置いておけるようなスタンドを作ることになりました。本体の曲面に沿う形状を作成するために3Dスキャナーでスキャンし、SOLIDWORKSに渡すための綺麗なモデルを作成しました。
詳細は前回のブログをご覧ください!
体温計スタンド作ってみた話【スキャン編】
3D CADでモデリング
そんなこんなで、受け取ったデータをSOLIDWORKSで開いた様⼦がこちら。
きれいなロフト形状になっています。ここから先はSOLIDWORKSでモデリングを進めることができます。履歴も受け取れていますので、必要なら曲面の形状やフィレットの大きさの変更も可能です。
まずはクリアランスがないとはめ込むことができないので、スタンドの内側⾯として、
0.2mmほど外側にオフセットした⾯を作成します(スキャンデータの誤差を吸収する意図もあります)。
最適値は結果を見て調整することを念頭に、勘と経験でえいやっと決めた値です。
次はケース外側⾯を⾁厚分1.2mmオフセットした⾯を作成しました。薄くしすぎると耐久性がなくなりますが、厚くしすぎると硬くなってはめ込めなくなるほか、持った時のフィッティングが悪くなります。なお、Markforgedプリンタでは、0.8mm以上で造形が可能です。ここも勘と経験でえいやっと決めた値です。
安定して⽴たせるためのフランジ部分を追加して、グリップ部分との境界をフィレットでなじませます。
最後にストラップ部分をモデリングしたら、
3Dモデルの完成︕
プリント、完成
プリントしたのは⼤阪営業所のデモ機、Onyx Oneです。
MarkforgedプリンターはFDMのプリンターなので、溶かした材料を1層づつ積み重ねていきます。
完成︕
安定性もばっちり、装着した状態で持った感じも違和感なくできました。フィッティングもばっちりで脱落することもなく、無理なく外すこともできます。何回かはやり直しが必要かと思っていたけど、なんと1発⽬で⼤成功。うん、天才設計者。⾃画⾃賛もさることながら、これが実現したのはスキャンデータとリバースモデルの再現性・精度があってこそです。正直、ここまでうまく再現されていたことに驚きました。名古屋営業所のTさんにも感謝!です。
ケータイ⽤のストラップを取り付ければ、ぶら下げることもできます。
データの共有と現地製造
うまくいったので、同じ温度計を使⽤している他拠点にもおすそ分けしようと思いました。増産して、それぞれ発送・・・する必要はありません︕
Markforgedプリンター専⽤のスライサーであるEiger(クラウド版)は単なるスライサーではなく、プリントデータの保管庫にもなっています。同じネットワーク上に接続されたプリンターでデータを共有することができるのです。保存されているデータは、印刷や配置まですべて設定済です。プリントしたいデータを選んで、出⼒先として⾃拠点のプリンタを指定するだけでプリントできます。
弊社では、各拠点のプリンターが同じEigerグループ上にあるため、この仕組みを利用して、急ぎで複数個が必要な場合には、複数拠点のプリンター稼働させることで対応しています。今回も各拠点で「現地生産」しました。
実業での活⽤としては、例えば、3Dモデルの作成とプリントデータの作成は「開発」拠点で⾏い、全国に分散する「現場」拠点のプリンタで指定されたデータをプリントする・・といった運⽤が可能です。
まとめ
どうでしたでしょう?本稿では体温計のスタンドの作成を通じて、既存製品の形状を3DCADに取り込んで設計に利用し、3Dプリンタで製造するまでの流れをご紹介しました。 図面がないものを3Dモデルにしたい(あるいは製造まで)、設計にしたいといったニーズがありましたらスキャナの利用をご検討いただくのも一つの方法です。
◆今回登場した製品はこちら
上記製品は「第24回 関西 設計・製造ソリューション展」で展示いたしますので、お近くの皆さまは是非テクノソリューションズのブース【2号館 1-62】にお越しください!詳しくは下記ブログでご案内しております。
「第24回 関西 設計・製造ソリューション展に出展します!」
おまけ
今回作成したスタンドのSTLデータをご用意いたしました。 Markforgedプリンターをお持ちで、同型の温度計を使⽤されている⽅は、よろしければダウンロードしてご利⽤下さい。
※Markforged以外の機種ではクリアランス等調整が必要な可能性があります。